マンション投資を確実に手にする方法
いま,ユーロマーケットの変動利付普通社債を使って,100億円資金を調達するものとします。
クーポンは6ヵ月LIBORと同じ金利が適用されると仮定します。
この債券の発行日は1995年6月21日で,第1回目の利払日は,1995年12月21日だとします。
まず,第1回目の利払期間に適用されるクーポンを決めなければなりませんが,通常ロイター等で提示されているLIBORは提示されている日から数えて2営業日後からその金利が適用されます。
したがって,発行日が6月21日であれば,その2営業日前の6月19日に契約書で決められた複数の銀行が提示する円LIBORの平均を使って,6月21日から6ヵ月間適用されるクーポンが決められるわけです。
もしここで,この円LIBORが3%であったと仮定しますと,発行体のあなたは最初の利払期間である1995年の6月21日から12月21日までは3%のクーポンを払えば良いことになります。
次に,1995年の12月19日になりました。
2営業日後の12月21日から始まる次の6ヵ月間のクーポンを決めなければなりません。
いま仮に円LIBORが3.5%であったとします。
この場合,95年12月21日から,96年6月21日までの6ヵ月間は3.5%のクーポンが支払われることになります。
このように,変動利付普通社債の場合には,発行時から満期までの間,発行日から6ヵ月ごとに次の期間に適用されるクーポンを決めていきます。
この結果,満期が5年の債券であれば10回利払いが行われ,10のクーポンがそれぞれの利払期間に応じて決められます。
おわかりいただけたでしょうか。
固定利付普通社債では,発行者も投資家も満期までの発行者コストまたは投資家利回りを承知のうえで,固定利付普通社債を発行または購入できます。
一方で,変動利付普通社債は,満期まで6ヵ月ごとにクーポンが変わりますので,発行者も投資家も満期が到来するまで,発行者コストまたは投資家利回りを計算することはできません。
さて,最後にもう少し細かい点について,ご説明しましょう。
いままでの説明では,クーポンは6ヵ月LIBoRに等しく決められるような説明になっていましたが,実際には,LIBORは銀行間の金利ですから,事業会社が変動金利で債券を発行しようとすれば,LIBORに多少金利を上乗せしなければなりません。
例えば格付でAの会社の場合,約0.5%の金利を上乗せすれば発行できるという具合になります。
固定利付普通社債のところでも説明しましたが,格付が良くなればなるほどこの上乗せされる金利は少なくてすみます。
また同時に金利の動きそのもの,および変動利付債に対する需要によってもこの上乗せされる金利は異なってきます。
例えば,金利がこれから上昇すると予想する人が増加すれば,変動利付債を買う人は増加します。
なぜならば,固定利付債を買えば,クーポンは満期まで変わりませんが,変動利付債であれば,予想通り金利が上昇した場合その上昇分の金利がクーポンに反映されます。
また,何かの理由で変動利付債に対する需要が増加すれば,変動利付債の流通価格が上昇し(流通利回りが低下,結果的に新しく発行される変動利付債に上乗せされる金利が低下します。
そしてそれらの新しい上乗せ金利で発行される変動利付債が投資家に売れ続けていれば,売れなくなるまでこの上乗せ金利は低下していきます。
ところで,ベースとなる金利はLIBORだけなのでしょうか。
実際には,LIBORベースの変動利付債がほとんどですが,例えば,長期プライムレートをベースにした変動利付債もあります。
国内債では,変動利付債の発行実績が少ないのですが,今後発行実績が増えれば,いろいろな金利をベースにした債券の発消えた上乗せ金利1982年当時,フランスのAaaの銀行が変動利付債を活発に発行しており,その時のクーポンはLIBORに0.25%を上乗せしたものでした。
しかも,流通価格は98.5程度で取引されていましたから,実際の投資家利回りは,LIBORに0.4%程度を上乗せしたものだったといえます(10年満期の場合;100から98.5を引いた1.5を期間の10で割って0.25に上乗せする)。
ところが,82年頃から日本の銀行が活発にこれらの変動利付價を購入したことから,85年頃にはAaaのフランスの銀行はLIBORに何も上乗せしなくても10年満期の変動利付債を発行することができるようになってしまいました。
行が期待できます。
さて,変動利付債の発行価格はどのように決められるのでしょうか。
固定利付債の発行価格は発行者コストに大きな影響を及ぼすことが前節の説明で明らかになっています。
変動利付債の場合は,通常発行価格は100で発行されるケースがほとんどです。
これは,発行価格で発行者コストの微調整を行うケースが固定利付債に比べ少ないからですが,この点については次の発行者コストのところでもう少し詳しくご説明します。
年限については,固定利付債同様いろいろな年限が考えられますが,国内債の場合まだそれほどバリエーションはありません。
外貨建債の場合は,3年くらいの短いものから,長いものは1984年頃から発行されるようになった永久債があります。
永久債については,この章の最後で詳しくご説明しますが,よくよく考えれば満期がないわけですから,発行体は元本を返す必要がなく,発行条件にもよりますが,かなり発行体にとって有利な商品といわざるを得ないのではないでしょうか。
変動利付債の発行者コストはどのように計算すればよいのでしょうか。
変動利付債の場合,固定利付債ほど簡単ではありません。
特に,発行時に具体的な数字で,発行者コストを計算することは,商品の性格上不可能です。
この結果,通常変動利付債の発行者コストは,ベースとなる金利にどのくらい上乗せされているかという点で,計算されます。
もう少し具体的に見てみましょう。
いま,ある会社が,LIBORベースの変動利付債を100億円発行し,発行条件はLIBOR十〇。5%だとします。
発行価格は100で,満期は10年です。
このケースの場合,発行者コストはLIBOR十〇。5%ということになり,この会社は,6ヵ月ごとに決まるLIBORに0.5%を上乗せした金利を10年間払えばよいことになります。
では,発行価格が99であればどうなるのでしょうか。
この場合には,99億円受け取り,100億円返さなければならないわけですから100億円と99億円の差の1億円を10年間で金利に上乗せしなければならないわけです。
別の言葉でいえば,99の発行価格(受け取り)に対し,100の満期償還(返済)ですから,10年のうちに,1を返さなければならないというわけです。
したがって毎年の金利上乗せ分は0.1%となります。
この結果,この会社の発行者コストは,LIBOR十〇。6%ということになります。
このように,発行価格の部分を発行者コストに組み入れる方法はいろいろありますが,変動利付債の場合は,発行価格と満期償還の差を単純に年限で案分し,LIBORに上乗せして計算するのが普通です。
したがって,固定利付債のところでご説明したような,時間の概念を取り入れた発行者コストはLIBORがあらかじめわかっていない変動利付債では,計算不可能というわけです。
ただし,LIBORをある数字において複利の概念を用いた発行者コストを計算する方法もかなり試みられましたが,いずれの方法も一定の前提を置かざるを得ず,実用的には,ここでご説明した方法で十分だと思います。
最後に,発行価格が101の場合を簡単にご説明しましょう。
もう既にいままでの説明で,答えはおわかりだと思いますが。
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